本物のみりんはそのままで旨い
角谷文治郎商店(すみやぶんじろうしょうてん)の三河みりん
愛知県碧南市でのみりんの取材、久世福商店の創業当時からみりんを納めていただいている「角谷文治郎商店」を訪問しました。角谷文治郎商店は1910年創業の老舗。
原料のお米は玄米で仕入れて自家精米を行い、焼酎は自社蔵で仕込み蒸留し、
「米1升(しょう)、みりん1升」
という三河の伝統的製法を守ったみりんづくりを行っています。早速仕込みタンクを覗かせてもらうと、文字通りお米がぎっしりつまっていて圧倒されました。
角谷文治郎商店のみりんは、国内指定産地の厳選したもち米で仕込んだ「三州三河(さんしゅうみかわ)みりん」と、原料の全てが国内産の有機栽培のお米で仕込んだ「有機三州味醂(ゆうきさんしゅうみりん)」の2種があります。
いずれも雑味のない豊かな香りで、そのままなめておいしいみりんですが、有機原料のみりんは口当たりがとてもやわらかくて、まろやかに感じました。同じ製法、同じ熟成なのに味が違うのは、お米自体の味が大きく影響しているそうで、おいしいみりんには「そのまま食べてもおいしいお米」が欠かせないそうです。
「各地、その土地の気候風土に合った名産がある。三河には醸造に適した水、温暖な気候に恵まれた醸造文化がある。これからもこの伝統を受け継ぎながら、もっと身近に、そして幅広く使ってもらえるような活動をしたい」とおっしゃっていました。みりんを「お米のリキュール」として提案し、国内外のパティシエにスイーツの原料としても使ってもらっているそうです。
(三河みりんに青梅を漬け込んだ三州梅酒 ※久世福商店の一部店舗で販売)
(左、角谷文治郎商店の看板娘さん)
取材を終えて
今回みりんの取材をするにあたって、自分の家でも一応使ってはいるけれども、地味な商品だな・・・と正直思っていました(正直すぎてごめんなさい!)。ですが、醸造元を訪ねて、お話を伺って、丹精込めて造られたみりんを味わって、1番驚き感動したことは、本物のみりんはそのまま飲んでおいしいということでした。
工業のイメージしかなかった愛知県が、こんなにも農作物の栽培が盛んで、そしてこんなにも歴史ある醸造県だということを初めて知り、この地域の歴史と気候、風土が育んだ醸造文化、醸造産業の壮大なストーリーに感動しました。
久世福の神髄に触れた久世福ブランドを象徴する商品のひとつとして、まずはひとさじのみりんを口にされることをおすすめします。普段のお料理に、スイーツづくりに幅広く、気軽に使ってください。